マイクロクレデンシャル共同WGは、大学の国際化促進フォーラム、Japan Virtual Campus運営委員会(以下、JV-Campus)、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(以下、JMOOC)の3団体合同によって設立されたワーキンググループです。

グローバルにオンライン学習環境が発展して、学習者が内容を自由に選択して時間、空間の制約を受けずに学習することが実現しつつある中、様々な学習者の要求に適切に応じられるためには、学習用コンテンツの学習目的、内容の表示や修了条件の明示とともに質保証が必要になります。

マイクロクレデンシャルは、学習者が知っていること、理解していること、またはできることを証明する対象が重点化された学修成果の記録です。その学修成果は明確に定義された基準に基づいて評価され、教育の質が保証されます。

大学の国際化促進フォーラム、JV-Campus、JMOOCはこの共同WGの活動を通じて、マイクロクレデンシャルの制作と提供を推進するとともに、運用プラットフォームの整備と連携、スキル体系の国際連携等を進めて参ります。

マイクロクレデンシャルとは

マイクロクレデンシャルとは、修士や学士などの学位プログラムを補完する教育として,特定の領域を比較的短期間で学び,学習者が知っていること,理解していること,またはできることを証明するものです。マイクロクレデンシャルは、産業構造の急速な変化への対応や持続的な社会の実現のためのリスキリングやリカレント教育や、全ての人に学習の機会を提供することを目的にしています。そのため、授業方法もオンラインやブレンド型教育などの柔軟な方法が使われます。マイクロクレデンシャルは、それ自体が価値を持つと同時に、複数のマイクロクレデンシャルを取得することで学位取得につなげることもできます。

(参考文献)

UNESCO, Towards a common definition of micro-credentials, 2022

設立趣意書


マイクロクレデンシャルに関する共同WG設立趣意書(全文)

1.マイクロクレデンシャルに関する国際的な取り組み状況とその必要性
○グローバルにオンライン学習環境が発展して、学習者が内容を自由に選択して時間、空間の制約を受けずに学習することが実現しつつある。すでに、グローバルに多くのオンライン教材が展開しているが、様々な学習者の要求に適切に応じられるためには、学習用コンテンツの学習目的、内容の表示や修了条件の明示とともに質保証が必要になる。
○また、デジタル化による産業構造や技術の急速な進展を背景に、特定の分野を学び、その学修成果を証明するマイクロクレデンシャルが注目を集め、世界各国で取り組みが急速に進んでいる。
○マイクロクレデンシャルは、学習者が知っていること、理解していること、またはできることを証明する、対象が重点化された学修成果の記録である。その学修成果は明確に定義された基準に基づいて評価され、教育の質が保証される。
○欧州連合(EU)、オーストラリアを初めとして各国がマイクロクレデンシャルの枠組み(フレームワーク)を策定し、マイクロクレデンシャルの制作、取得、利用の促進を図っており、韓国やタイもこれに追随する動きがあることを確認している。さらに、オーストラリアでは高等教育機関のマイクロクレデンシャルの制作に対する政府補助事業を開始しており、日本においても早期にマイクロクレデンシャルの枠組みの策定と普及を促進することが急務である。
○マイクロクレデンシャルは高等教育機関だけでなく、人生百年時代を迎えた日本においてもリカレント教育やリスキリングの必要から民間研修機関、学協会、一般企業の参画が期待され、組織や団体の垣根を越えた教育のエコシステムの形成や、特に教育の質保証を担保する仕組みの形成が求められる。
○教育機関等が質の高いマイクロクレデンシャルを提供し、学習者が必要なマイクロクレデンシャルを選択し、雇用者や利用機関がマイクロクレデンシャルを適切に評価するために、日本国内でマイクロクレデンシャルの共通の枠組み(フレームワーク)が求められる。これにより、大学間のグローバルなコンテンツ交換にも応えることができる。
○日本国内で国際的な人材を養成する観点から、さらにアジア太平洋地区などで国を跨った人材活用を進めていくためには、マイクロクレデンシャルの枠組みの国際連携が必要である。
○マイクロクレデンシャルは教育の質保証を行う仕組みであるが、学習結果の偽造や改ざんを防ぎ、安全に保持し有効に活用可能にする手段として、(米)1EdTech Consortiumが推進するオープンバッジ等のデジタル証明の国際標準規格も存在している。マイクロクレデンシャルとデジタル証明、この二つの役割を明確にした上で、相乗効果が得られる仕組みづくりが求められる。

2.共同WGの発足の意義
・日本国内におけるマイクロクレデンシャルの早期構築と普及促進
・教育関連の学協会、社団法人、財団法人、政府の補助事業の推進組織等の公益団体、機関が有する技術や知見の共有

3.共同WGの検討対象
・マイクロクレデンシャルのフレームワーク(マイクロクレデンシャルの制作、選択、評価や教育の質保証に必要な枠組み)の策定と関連する運用方法
・マイクロクレデンシャルを記述するための共通項目の整備
・マイクロクレデンシャルをデジタル証明する際のガイドライン(デジタルバッジ等で証明する際に、互換性を担保するための指針)の策定と関連する運用方法

4.活動体制
Japan Virtual Campusマイクロクレデンシャル・バッジ専門部会
一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会 マイクロクレデンシャルWG

5.取り組みのマイルストーン
2023年8月 マイクロクレデンシャルに関する共同WG 設立
2023年9月 マイクロクレデンシャルのフレームワーク作成と運用開始
2023年9月 マイクロクレデンシャルをデジタル証明する際のガイドライン作成運用開始
2023年9月 海外団体・機関との意見交換、連携活動の開始
2024年 アジア太平洋地区でのマイクロクレデンシャルのフレームワーク連携の開始

6.連携団体、機関
・主催団体・機関:大学の国際化促進フォーラム、 Japan Virtual Campus運営委員会、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会
・協力団体・機関:一般社団法人日本1EdTech協会、一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク、公益社団法人日本工学教育協会、一般社団法人PMI日本支部、一般社団法人日本オンライン教育産業協会、放送大学学園、文部科学省
(協力団体は現在の参加予定機関を含みます。)

7.設立発起人
井上雅裕(Japan Virtual Campusデジタルクレデンシャル等専門部会委員、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会・マイクロクレデンシャルWG副主査)
池田佳子(Japan Virtual Campus運営委員会委員・デジタルクレデンシャル等専門部会長)
児玉靖司(一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会理事・マイクロクレデンシャルWG主査)